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ジョニー・デップと元妻アンバー・ハードの法廷闘争を扱った著書は、オーストラリア滞在中にデップが指先を失った経緯を本人側の証言に基づいて記している。
俳優ジョニー・デップは11月13日に世界同時公開される「クリスマス・キャロル 3人のゴーストたち」で、約8年ぶりにハリウッドの大手スタジオ作品へ復帰する。長い活動停滞の背景には、元妻アンバー・ハードが家庭内暴力を訴えたことから発展した法廷闘争があった。
猿渡由紀氏の著書「ジョニー・デップの戦い DV疑惑の真実と復活への道」は、裁判資料やデップ側の説明を基に、デップ自身も暴力被害を受けたとする主張を扱う。以下の経緯は同書が記述したデップ側の見解であり、当事者間で長く争われた内容を含む。
結婚翌年の3月、ハードはデップが映画撮影で滞在していたオーストラリアを訪れた。到着前、デップの弁護士が結婚後契約、いわゆるポストナップへの署名を提案していた。二人は婚前契約を結ばないまま結婚しており、同様の財産条件を婚姻後に取り決める意図だった。
ハードにも弁護士が必要なためデップ側が手配したが、書類を見たハードは、デップ本人は内容を知らず、周囲が勝手に要求しているのではないかと抗議した。担当弁護士からデップも承知していると伝えられ、侮辱されたと感じた状態で豪州へ入ったと同書は記す。
ハードは、離婚時に財産を得られないのではないか、デップの遺言にも自分が含まれていないと強く訴えた。デップは結婚式の準備が急で遺言変更の時間がなかったと考え、説明しようとしたが、口論は収まらなかったという。
同書によると、口論は身体的衝突へ進み、デップは部屋を移って距離を取ろうとした。最後は浴室に鍵をかけて床に座り、相手が離れた後、地下のバーへ向かった。それまで数カ月、マリファナ以外の薬物と酒を断っていたが、ウォッカを数杯飲んだ。
ハードが再び現れ、飲酒を非難。ウォッカ瓶を投げ、最初の瓶はデップの近くで割れたとされる。デップが別の大型瓶を出して飲むと、ハードがそれを取り上げて投げ、カウンター上にあったデップの右手に当たったという。
瓶は砕け、デップは当初痛みを感じなかったが、右手中指の骨が露出し、先端が欠けて大量に出血していることに気づいた。同書は、この負傷をハードが投げた瓶によるものとするデップ側の主張を紹介している。
混乱状態のデップは負傷した指に塗料をつけ、室内の鏡やランプシェードへ文字を書いた。映画「ロンドン・フィールズ」でハードと共演したビリー・ボブ・ソーントンとの関係を疑う内容もあったが、ソーントンは後に関係を明確に否定した。
デップは医師へ助けを求めるメッセージを送り、侮辱や攻撃が続いたこと、指先を失ったこと、結婚した判断を後悔していることを伝えた。またロサンゼルスにいた姉クリスティには、結婚後契約の交渉をやめ、婚姻そのものを取り消す手続きが可能か調べてほしいと依頼した。
米国には、一定の条件で離婚ではなく婚姻を当初から無効と扱うアナルメントの制度がある。デップは姉を心配させないため、負傷については当初伝えなかったという。
デップとハードの関係をめぐる主張は複数の裁判で争われ、双方が互いの暴力を主張した。記事と著書はデップ側の立場から豪州での出来事を再構成しており、個別の主張はその帰属を明確にして読む必要がある。
事件後、負傷したデップは医療処置を受けた。指先を失うほどのけががどのように起きたかは裁判でも重要な争点となり、ハード側とデップ側は異なる説明を示した。同書はデップ側の証言を採用しているため、記事化に当たっても断定ではなく出典を明示する必要がある。
ポストナップをめぐる対立には、夫婦関係だけでなく財産、弁護士、周囲のスタッフが関与していた。直接の話し合いが感情的な衝突へ変わり、デップが別室へ移っても口論が続いたという経緯は、二人の関係がすでに深刻に悪化していたことを示す。
負傷後のデップの行動も平静なものではなかった。出血した指で室内へ文字を書いたことや、酒を断っていた時期に飲酒を再開したことは、本人が強い混乱状態にあったとの説明に含まれる。これらは暴力被害の主張と同時に、当時のデップ自身の精神状態を示す材料として法廷で扱われた。
ソーントンへの疑いはデップ側の思い込みだったとされ、本人は関係を否定した。著書もこの否定を記し、負傷直後に書かれた言葉を事実関係の裏付けではなく、デップがその瞬間に抱いた疑念として紹介している。
デップが医師へ送ったメッセージでは、指の治療を求めるだけでなく、結婚生活を終わらせたい意向も示された。姉に婚姻取り消しを調べるよう頼んだことからも、オーストラリアでの出来事が離婚へ向かう大きな転機になったと同書は位置づける。
その後の訴訟では、録音、写真、医療記録、当事者や関係者の証言が検討され、世論も大きく割れた。大手スタジオ作品への復帰を伝える現在の記事は、長期にわたる裁判とキャリアへの影響を背景に、豪州での負傷場面を再検証する内容となっている。
作品復帰の報道と過去の法廷記録を結びつける際も、裁判で扱われた主張と確定した事実を混同しないことが重要となる。
Y.Kato--JT