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ノーラン監督の「オデュッセイア」が9月11日に公開された。古代ギリシャの英雄の帰還を描く172分の映画について、文春の採点企画は5人の評価を紹介した。
クリストファー・ノーラン監督・脚本の米映画「オデュッセイア」が9月11日に公開された。ホメロスの英雄譚を映画化した2026年作品で、原題は「The Odyssey」、上映時間は172分。全編をIMAXフィルムカメラで撮影した。
物語の中心は、マット・デイモン演じるイタケの王オデュッセウス。10年続いたトロイア戦争を終わらせた後、さらに10年間消息を絶つ。アン・ハサウェイ演じる王妃ペネロペは帰還を待つが、王位を狙うアンティノオスら求婚者が王宮で宴を続ける。アンティノオス役はロバート・パティンソンが務める。
トム・ホランド演じる王子テレマコスは、父を捜すためスパルタに向かい、トロイの木馬作戦について聞く。一方、オデュッセウスはシャーリーズ・セロン演じる女神カリュプソの島で記憶を取り戻していく。帰国の航海で遭遇した一つ目の巨人、魔女キルケ、鎧の巨人、セイレーンの試練や、船団の運命を思い出し、再び故郷へ出発する。
キルケ役はサマンサ・モートン。オデュッセウスを導く女神アテナをゼンデイヤ、スパルタ王妃ヘレネとその双子の姉をルピタ・ニョンゴ、盲目の従僕エウマイオスをジョン・レグイザモが演じる。配給はビターズ・エンドとユニバーサル映画。
ノーラン監督の前作「オッペンハイマー」(2023年)は、世界興行収入約10億ドルを記録し、アカデミー賞で作品賞と監督賞を含む7部門を受賞した。新作は「イリアス」と並ぶ古代ギリシャの叙事詩を題材に、現代的な主題も盛り込む構成となっている。
文春オンラインの採点企画では、翻訳家の芝山幹郎氏、作家の斎藤綾子氏、映画評論家の森直人氏が、5点満点の最高点を付けた。芝山氏は叙事詩としての風格と娯楽性、活劇の運びを評価した。斎藤氏は神の怒りから逃れる展開や木馬の内部の描写に触れ、夫を待つペネロペの愛を挙げた。
森氏は古典的な英雄の旅に贖罪の主題を加えた点を評価し、自在な語りの成熟を指摘した。「イントレランス」の系譜を引く作品とも捉えている。
女優の洞口依子氏は3点とし、異なる国籍やジェンダーを超えた配役が、神々や人々の物語を現在の観客へ届ける仕掛けになっていると評した。魔女を演じたモートンの演技も評価している。
ゲスト評者の活動写真弁士・片岡一郎氏は4点。冒険の空想を高い完成度で映像化した点を挙げ、ゼンデイヤの役に「イントレランス」のリリアン・ギッシュを思わせる要素があるという見方を示した。
片岡氏は1977年生まれで、2002年に澤登翠へ入門して同年デビューした。国内外で活動し、「カツベン!」の実演指導や「ゆきてかへらぬ」などへの出演経験を持つ。著書に「活動写真弁史 映画に魂を吹き込む人びと」がある。
T.Kobayashi--JT