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森本レオさんの訃報を受け、医師が急性心筋梗塞、致死性不整脈、急性大動脈解離、肺血栓塞栓症、くも膜下出血の警告症状と緊急対応を解説した。
俳優、ナレーターとして活動した森本レオさんが9月4日、83歳で亡くなった。所属事務所は死因を「原因不明の突然死」と発表した。森本さんはドラマ「ショムニ」「ロングバケーション」や、アニメ「きかんしゃトーマス」のナレーションなどで幅広い世代に知られた。
総務省消防庁の「令和7年版 救急・救助の現況」によると、日本で心臓が原因となって突然心停止する人は年間約9万1000人で、単純計算では1日約250人に当たる。突然死は病名ではなく、予期しない死が急に訪れる状態を指す。東京都監察医務院は、外因死を除き、瞬間死または急性症状が出てから24時間以内の自然死と定義している。
医療法人社団五良会の五藤良将理事長は、突然死の背景には心臓、血管、脳などの重大な病気がある場合があると説明した。ただし、森本さんについては死因が公表されていないため、外部から原因を推測できないと強調した。
代表的な疾患の一つが急性心筋梗塞で、心臓へ酸素と栄養を送る冠動脈が詰まり、心筋への血流が途絶える。胸を締め付ける強い痛みや圧迫感が典型だが、胸の重さ、息苦しさ、冷や汗、吐き気、肩、腕、背中、あご、みぞおちの違和感として表れることもある。
高齢者や糖尿病のある人では、強い痛みを感じない無痛性心筋梗塞が起きる場合があるため、胸が痛くないことだけで心臓病を否定するのは危険だという。森本さんは2010年、67歳の時に胸からみぞおち付近の痛みを訴え、心筋梗塞で救急搬送されたが、この既往と今回の死との関係は明らかでない。
心筋梗塞は心筋を傷つけるだけでなく、心室細動などの危険な不整脈を起こし、突然の心停止につながることがある。胸の違和感が続く、冷や汗や息苦しさを伴う、明らかに普段と違う場合は我慢せず医療機関を受診する必要がある。
二つ目は心室細動や心室頻拍などの致死性不整脈。心臓を動かす電気信号が大きく乱れると、心臓が全身へ血液を送り出せなくなる。心室細動では心筋が細かく震えるだけになり、脳への血流も途絶えるため、短時間で意識を失い、心停止に至る。迅速な心肺蘇生とAEDが重要になる。
発症前に、これまでにない強い動悸、息切れ、めまい、目の前が暗くなる感覚、失神などが出ることがある。一度気を失ってすぐ回復しても、重い不整脈が隠れている可能性があり、軽視すべきではない。日本循環器学会も、心筋梗塞や心筋症を背景に心室細動や心室頻拍が起こる場合があるとして、症状があれば相談を促している。
三つ目は急性大動脈解離。心臓から出た血液が通る最も太い血管、大動脈の壁が突然裂け、血管壁の内部へ血液が入り込む。突然の非常に強い胸や背中の痛みが典型で、解離が広がると痛む場所が胸から背中、腰へ移ることもある。
脳へ向かう血流が妨げられれば意識障害や手足の麻痺が起こり、冠動脈へ影響すれば心筋梗塞のような状態になる。大動脈の破裂や、心臓を包む膜に血液がたまって心臓の動きを妨げる心タンポナーデは突然死につながる。高血圧は大きな危険因子で、突然の激痛を休めば治ると放置してはいけない。
四つ目は肺血栓塞栓症で、足などの静脈にできた血栓が肺へ流れ、肺動脈を塞ぐ。長時間同じ姿勢を続けた場合に起きるものは、エコノミークラス症候群とも呼ばれる。突然の息苦しさや胸痛が特徴で、重症では血圧低下、意識消失、心停止を起こす。
手術後、長期の安静、がんの治療中など血栓ができやすい状況では注意が必要だ。肺の症状より先に、片脚だけが急に腫れたり痛んだりすることもある。その後に突然息苦しくなったり、胸が痛くなったりした場合は緊急の評価が必要になる。
五つ目はくも膜下出血。脳動脈瘤などが破裂し、脳を覆う膜の間に出血する。最も重要な兆候は、突然始まる「これまで経験したことのない」激しい頭痛で、吐き気、嘔吐、意識消失を伴うこともある。本格的な出血の前に比較的軽い警告頭痛が起きる場合もある。
普段から頭痛がある人も、いつもの痛みと同じかを見極める必要がある。明らかに違う頭痛なら、鎮痛薬を飲んで様子を見るのではなく、直ちに医療機関を受診することが重要だ。
五藤医師は、症状の強さだけで危険性を判断しないよう求めた。以前は歩けた距離で急に息切れする、これまでなかった胸の違和感がある、動悸を繰り返すなど、自分の通常の状態からの変化に注意する必要がある。
突然の強い胸痛や圧迫感、激しい息苦しさ、失神、激しい頭痛、意識障害、片側の手足の麻痺などは直ちに対応すべき症状だ。朝まで待つ、寝れば治ると判断せず、救急車を呼ぶか迷う場合は地域の救急相談窓口「#7119」などへ相談する。
目の前で人が倒れ、反応がなく普段通りの呼吸をしていない場合は、119番通報を行い、胸骨圧迫とAEDの使用を始める。居合わせた人の行動が救命につながる。
すべての突然死に前兆があるわけではなく、予測が困難な例もある。前兆を知れば必ず防げると考えることも適切ではない。重要なのは、身体の「いつもと違う」変化を年齢や疲労だけのせいにせず、症状が続けば受診し、突然強い症状が出た場合は救急要請を検討することだ。
K.Inoue--JT