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ふと気づくと何か月、何年も会えていない友人がいる。
ふと気づくと何か月、何年も会えていない友人がいる。決して友情が薄れたのではない。ただ仕事が忙しくて、生活があって、気づけば時間が経ってしまった。誰しもそんな存在が、一人や二人いるのではないだろうか。
9月25日に日本公開された韓国映画『ファーストライド』は、そんな大人たちにこそ観てほしい作品だ。24年来の幼馴染4人が、高校時代に叶えられなかったタイへの卒業旅行を、10年越しに実現させようとする――韓国で興行収入ランキング初登場1位を記録した青春トラベル・エンターテインメントである。
物語の重要人物を担ったのは、映画『ミッドナイト・ランナー』『ラブリセット 30日後、離婚します』や、ドラマ『椿の花咲く頃』『イカゲーム』シリーズなどで知られる人気俳優、カン・ハヌル。本人がメールインタビューに応じ、本作の見どころや撮影の裏話を教えてくれた。
若手スター俳優としてデビューしたカン・ハヌルも、今年36歳になった。2010年代から今日にいたるまで、毎年のように出演映画やドラマが続々公開されている。まさに休む暇もないほど多忙を極める彼は、友人との距離に思うところがあったという。
「この作品への出演を決めた理由――それは、脚本を読んだら、長年の友人たちのことが頭に思い浮かんだからです。昔には一緒に旅行に行ったり、よく遊んだりしましたが、年齢を重ねるにつれて会う機会も少なくなり、旅行に行くための時間を合わせることさえ難しくなっていきました。そういうことって、よくありますよね?」
「脚本を読み進めるうちに、友人たちに対して申し訳なかったな、という感情が湧いてきたんです。おそらく多くの方も、日々の生活に追われるうちに、幼馴染や親友を大切にできなくなっているのではないでしょうか。この作品を通して、少しでも大事な友達のことを思い出してもらえる時間になるのではないか、と思ったのです
(演じた主人公・テジョンとは)自分の置かれた状況とリンクするところも多かったですね。仕事が忙しくて友人関係がおざなりになっていたこと、それに対する申し訳なさ、小さな罪悪感まで」
小さな罪悪感。彼が使ったこの言葉に、筆者もドキッとした。思い当たることがあったからだ。連絡しなければ、と思いながら時間が過ぎていく。本作はまさに、大人の友情の中に生じる、”小さな罪悪感”を呼び起こされる作品なのだ。
彼が演じるメインキャラクターのテジョンは、成績優秀でありながらケンカっ早く、優等生なのに実は不器用という多面性のある役どころだ。さらには高校時代からその10年後まで、幅広い年代を演じ分ける必要もあった。
「テジョンという人物を面白いキャラとして演じるよりは、テジョンが置かれたシチュエーションを、いかに面白く見せようか。それには、どんな姿でいるべきなのかを監督と一緒に工夫して考えました」
役そのものに“分かりやすい”味付けをするのではなく、その人物がいることで「画が面白くなる」。そんな場を監督と作り上げた。
「皆さんの友達の中にも、テジョンのようにリーダー気質で、物知りなタイプが、きっと一人はいると思います。特別な能力を持った人物ではなく、周りを見れば一人くらいはいる、そんな”身近な仲間“を演じたいと思ったのです」
本作は『ラブリセット 30日後、離婚します』に続き、カン・ハヌルとナム・デジュン監督にとって2度目のタッグとなる。しかも今回の脚本は、最初からハヌルの主演を想定して書かれた「あて書き」だったそうだ。カン・ハヌル自身からの監督への信頼も厚い。監督の“変わらない軸”はどこにあるのか尋ねると、彼はこう答えた。
「監督と僕は、なんと言いますか……人としての感覚や雰囲気が似ているな、と思う部分があるんです。そして、僕の思う監督の最大の長所は、決して人の心を傷つけないところ。その人格が作品にも表れています。
演出をされているときにも、心配りを感じますね。現場をいつも楽しい雰囲気にしようと努めてくださいますし、誰一人として傷つくことがないように配慮してくださるんです。もちろん演出力や脚本を書く才能も非常に素晴らしいですよね。その上で、一番好きなところは……人が集まる現場という空間を、笑いやユーモアで満たしてくれるところです」
それでは、ナム・デジュン監督と“3度目のタッグ”はあるのだろうか? 率直に尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「ナム・デジュン監督との仕事はいつも楽しいので、監督の作品なら何でも面白そうだと思います。ただ、できれば……あまり大変な撮影や過酷なシーンのない作品だと嬉しいですね(笑)」
K.Tanaka--JT