愛知・名古屋アジア大会、宿舎や運営トラブル相次ぐ
愛知・名古屋アジア大会、宿舎や運営トラブル相次ぐ。開会式で入場行進する日本選手団 ©︎時事通信社 「史上最悪の宿舎」と報道 ・国歌を間違える 男子ホッケーの韓国―バングラデシュ戦で、韓国の国歌ではなく北朝鮮の国歌を流してしまった。
今回はとっておきの野次馬案件となっている。現在、愛知・名古屋アジア大会がおこなわれている。ところが、競技以外のニュースがずいぶん目立つのだ。
ざっと並べてみる。開会式で入場行進する日本選手団 ©︎時事通信社 「史上最悪の宿舎」と報道 ・国歌を間違える 男子ホッケーの韓国―バングラデシュ戦で、韓国の国歌ではなく北朝鮮の国歌を流してしまった。・迎えのバスが来ない 韓国男子バスケットボール代表は、日本との決勝当日の朝、迎えのバスが来ず、予定していた練習ができなかった。
・歓迎行事に豊臣秀吉 歓迎行事では、朝鮮出兵を行った豊臣秀吉に扮した人物が登場。韓国側が抗議する事態になった。・コンテナ宿舎で水漏れ、ベッドにも不満 コンテナ型宿舎では水漏れが起き、長身の選手から「ベッドが小さい」という不満も出た。
「史上最悪の宿舎」との報道も。・クルーズ船になかなか乗れない 宿泊施設として使われるクルーズ船では、乗船手続きに長時間かかった選手もいた。これだけ並ぶとかなりのドタバタに見える。
ただし、すべてが組織委員会のミスだったわけではない。「食事が貧相」とSNSで話題になったテックボール会場の食事は国際競技団体側が用意したもので、クルーズ船の乗船遅れについても組織委は原因について反論している。それにしても、なぜコンテナやクルーズ船なのか。
今回の大会の大きなテーマは、いかにコストを抑えて運営するかだった。当初1000億円程度とされた費用が、物価高などでアジアパラ大会を含め約3700億円規模まで膨らんだ。そこで大規模な選手村はつくらず、コンテナ型宿舎やクルーズ船、ホテルを活用。
競技会場も既存施設をできるだけ使った。つまり、できるだけお金をかけない巨大国際大会を目指したとされる。ところが、ここで気になる話がある。
実はこの大会には、もう一つの意味があるようなのだ。朝日新聞が報じていた。2 /3 ページ目 この記事を1ページ目から読む 橋本聖子会長は「絶対に失敗が許されない年」と宣言 今年1月5日、JOCの橋本聖子会長は愛知・名古屋大会について、 「絶対に失敗が許されない年」 と宣言。
さらに、 「ここで失敗をしては次の国際競技大会を誘致することができないのではないかというぐらいの厳しい状況」 とまで語っていた。東京五輪はコロナ禍で無観客開催となり、その後、大会をめぐる汚職・談合事件が発覚。札幌の冬季五輪招致も断念した。
JOCは、愛知・名古屋大会の先に将来の冬季五輪招致も見据えているとされる。あれだけ東京五輪でやらかしたのに、まだ五輪招致?しかも、ここにはもう一つの「ねじれ」がある。
東京五輪では、大会運営をめぐる談合事件で電通などが問題になった。そこで今回は、東京五輪とは異なる運営の形が模索された。ところが今度は、運営面のトラブルが目立っている。
もちろん、「だったら電通に任せればよかった」という話ではない。東京五輪の反省から運営の形は変えようとしているのに、その先に描いているのはまた巨大国際大会の招致なのとなっている。なんだ、このちぐはぐさというか、懲りなさというか。
では、各紙の社説はアジア大会をどう見ているのだろう。朝日新聞は「『ミニ五輪』に甘んじず、独自色を磨いていくのも大切だ」と書いた。東京新聞は「持続可能なモデル示せ」として、選手村を新設せず既存施設を使う「背伸びしない持続可能な運営」に一定の理解を示していた。
そして産経新聞はズバリ、 「アジア大会開幕 五輪の招致につなげたい」 であった。産経はアジア大会を、選手にとっての「五輪への登竜門」、開催都市にとっても「五輪への準備大会」と位置づける。そして最後は「日本は常に、国際総合大会を開催できる国でありたい」と結ぶ。
かなり張り切っている。同じ大会でも見ているものがそれぞれ違う。読み比べの面白いところとなっている。
3 /3 ページ目 この記事を1ページ目から読む ただ、その産経は昨年7月、注目すべき記事を出していた。大阪・関西万博の工事で、フランス系イベント会社「GLイベンツ」の日本法人から約3億4000万円が支払われていない、と下請け業者が訴えたのだ。大会の競技会場の設営・運営を一括で担う仏系企業GL events Japanのロゴ 準備段階から難航していたことを組織委自身が把握 なぜ万博の話がアジア大会と関係するのか。
実はこの会社、アジア大会でも競技会場の設営・運営を630億円で受託しているのだ。そして未払いを訴えた業者は、こう心配していた。「未払い問題が来年のアジア大会に悪影響を及ぼすのではないか」 おお。
「次の五輪につなげたい」と書いた産経は、実は1年前からアジア大会への懸念も報じていたのとなっている。この問題は文春も報じている。9月25日の週刊文春 電子版「 『アジア大会』大混乱を裏付ける組織委員会内部資料 」となっている。
文春が入手した組織委の内部資料によれば、大会の1年以上前からGLとの調整は難航。資料には「なかなか指示が反映されていない状況」とあり、今年1月にはGLに「クレームを入れる予定」とまで記されていた。つまり、少なくとも会場設営・運営業務については、準備段階から難航していたことを組織委自身が把握していたのとなっている。
もちろん、今回の国歌やバス、宿泊など個々のトラブルがGLに原因があると確認されたわけではない。そこは分けて考える必要がある。ただ、昨年の段階で産経が懸念を報じ、今回、文春が内部資料から準備段階での難航を報じた。
組織委はリスクをどこまで把握し、どう対応していたのか。そして、もう一つ。そもそも今の日本で、また五輪を招致することがそんなに重要なのか。
東京五輪では汚職・談合まで起きた。なぜ、また五輪なのか。そこから問い直してほしい。
今回のアジア大会のドタバタを「とっておきの野次馬案件」として追いかけていたら、結局、また「あの件」にたどり着いたのであった。あなたにはこちらもおすすめ!【こちらも読む】《組織委内部資料入手》アジア大会でトラブル続出の内幕「準備段階から長期の遅れ」「契約額を184億円も上回る計画が…」
T.Ikeda--JT